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幼稚園であそぼ!(3) [幼稚園パフォーマンス]

パントマイムもやろっと

 オープニングにはいくつかパターンを用意してあります。一つは「壁抜け」。ステージを走り回って、いざお客さんに挨拶をしようとすると「見えない壁」にぶつかります。押しても叩いても壁はなくりません。そのうちに壁が押し返してきます。横や上からも迫ってきます。それを色んなパターンで抜け出るマイムです。二つ目は「恥ずかしがり屋の犬」。袖から出ようとすると何かに引っ張られて(手にはペンシルバルーンの端を握っています)袖に入ってしまう。また笑顔で出てくるが、また引っ張られて引っ込む。そのくりかえし。やがてバルーンで作った大きな犬を抱えて出てきます。三つ目のパターンは「出たがりの犬」客席から同じ大きな犬のバルーンに引かれて入ってくるマイムです。後の二つは「ロープ」のマイムの応用です。毎年ではありませんが、演技の助手として大きな犬を作って持っていくことが多いです。1人の演技なので、犬が相手役になってくれるのです。
 マイムの演目にもいくつか種類があります。ここでは二つほど紹介しておきます。
 一つは「スイカ割り」。緑色の丸い風船にスイカのような縞を描いてスイカに見立てます。。手には紙製のオノを持ち、目隠し(実際には見えます)をしてから、スイカ割りをしようとします。子どもたちは「もっと右、もっと左」と声を上げて応援してくれるのですが、無視してステージの端まで行って落ちそうになったり、ステージを降りてお客さんの頭の上にオノをふりかぶったりと、いろんな危ないことをします。しまいにはオノと間違えて大きな犬の尻尾(バルーン)を握り、振り回して床にたたきつけようとします。「ちがう!」という子どもたちの悲鳴に、目隠しをとって見ると犬の無残な姿。ピクリとも動かない犬の身体を抱いて泣いていると、尻尾がピンと立ってよみがえる。喜んで犬を抱きしめ、続けてスイカバルーンを使ったマジックに進みます。「浮く風船」マジックです。 二つ目の演目は「これなあんだ?」。あらかじめ進行の先生と内容について打ち合わせておきます。「これからクラウンさんがやることをみんなで当ててみよう」という先生のアナウンスを合図にパフォーマンスをはじめます。


クラウン お花畑にやって来ます。花を摘み匂いを嗅ぎます。摘んだ花を指差し、耳に掌をかざして、子ども達に無言で「これなあんだ」。
先生    「クラウンさんが持ってるのはなんだろうね?」。
子ども達 「お花!」。
クラウン そうそう正解。それにしてもお腹がすいた。花を見ておいしそう。周囲の 様子を見
て、口に入れようとする。
先生    「あれあれクラウンさん、お腹がすいてお花を食べようとしてるよ」
子ども達 「食べちゃだめー!」
クラウン 食べちゃう。「けっこういける」茎だけ出す。


クラウン 蝶々が飛んでくるマイム。
先生    「あれえ、何か飛んできたよ。なんだろうね?」
子ども達 「ちょうちょ」
クラウン それそれ正解。蝶々花にとまる。つかまえようとするが、逃げられる。ひらひら飛んだ蝶々がクラウンの鼻の上にとまる。つかまえる。お腹すいた。周囲の様子を見て口に入れようとする。
先生    「あれえ、また食べようとしているよ」
子ども達 「食べちゃだめー!」
クラウン かまわず食べようとするが逃げられる。あああ、行っちゃった。


クラウン あっそうだ。客席に背を向け、重い机を前に運ぶマイム。上に四角い形のもの(水槽)が載っている(マイムで見せる)くるりと回って場面転換。顔を伏せて両手で魚のマイム。くるりと回って水槽の中を指差し、掌を耳にかざして「これなあんだ」
先生    「なんだろうね」
子ども達 「金魚ー!」
クラウン そうだよ。くるりと回ってまた場面転換、机の下の引き出しからエサを取り出し水槽に入れる。くるりと回ってまた場面転換、魚たちエサに気付いて浮上する。くるりと回って場面転換、待ちかまえていたクラウンは金魚をつかまえる。金魚暴れて水がはねる。ああ、お腹すいた。周囲を見る。食べようとする。
子ども達 「ダメー!」(最高潮)
クラウン わかったよ。としぶしぶ水槽に金魚を戻す、水がはねてびしょびしょ。水槽の載った机を元(クラウンの後ろ)に戻す。


クラウン  よーし、次はこれだ。
先生   「さあ、今度はなんだろうねえ」
クラウン くるりと回ると疲れた男。手にはカバンを持っている。ドアホンのボタンを押し、ドアを
開け靴を脱ぐマイム。妻に「ただいま。疲れたよ」などと言いながら、カバンと上着、ネクタイを渡す。子どもかけてくる。抱き上げて高い高い。ねだるのでもっと高い高い。さらにねだるので思い切り高い高い。あれ?落ちてこないぞ。ああ、今日は疲れたなあ。とそこへ急に落下。ああびっくりした。じゃあねえ。部屋に入り、冷蔵庫から缶ビールを取り出し飲む。寝そべってリモコンでテレビをつける。ビールを片手に漫才を見て大笑い。さて、これなあんだ?
先生   「今までとちょっと違うねえ。人見たいだよ。誰かなあ」
子ども達 「お父さん、パパ」
クラウン はい。正解。よくわかったねえ。それでは……。

 ここで、お父さんと子どもを探しに客席におります。ステージに上げて、次の演目を手伝ってもらいます。演目には2種類あります。お父さんと子どもにクラウン風の帽子をかぶせ、皿をまわしてから子どもに皿回しの棒をもたせます。お父さんにはその皿が回り続けるように方法を教えて、自分はジャグリングをやったりします。あにかじめ作っておいたお土産(バルーン)を渡して終わり。もう一つは「中国式人体切断マジック」をやるのですが、説明はネタばれになるのでいたしません。世にも恐ろしいマジックです。終わった後でやはりお土産を渡します。

 マイムの演目で苦い経験があります。「風船の色は?」という演目で、マイムで風船をふくらまして空中に浮かべ子どもに上げるのです。先生が「この風船、何色だろうね?」と聞くと、子ども達は口々に自分の好きな色を言います。ある時、1人の女の子にこの目に見えない風船を上げようとしました。先生が「この風船何色?」と聞いても、その子は何も答えません。そばにいたお母さんが「赤よ。お母さんには赤に見える。赤って言いなさい」と命令しています。すると子どもは不満そうに「だって、風船なんて見えないよ」

 自分の未熟さを恥じた瞬間でした。と同時に子どもたちの感受性や想像力も多様であることを知りました。私はこの子を責めているのではありません。感受性や想像力に乏しいと指摘しているわけでもありません。むしろこの子の正直で素直な感性はすばらしいと思うのです。もちろん私の技術が未熟であったことを認めざるを得ません。しかし、たとえマイムの技術がすばらしくても、風船のマイムを全員が見る必要はないのです。「見たい」という感性もあれば、「見たくない」という感性もあっていい。「見える」という想像力もあっていいし、逆に「見えない」という想像力もあるのではないでしょうか。それに、どんな幼い子も気を使うことがあります。周りの大人の顔色をうかがう子もいます。「見えた」と言った方がクラウンも先生も、そして親も喜んでくれる。仲間たちに同調した方が盛り上がる。そんな計算が無意識に働いている子もいるのです。それもまた周囲の人間の心をおもんぱかる感受性と想像力の賜物です。私がこういうパントマイムをやることに意味があるとすれば、それは子ども達の感受性や想像力を「計る(評価する)」ことではなく、そういう能力を「耕す(刺激する)」ことだと考えます。特に「わかりやすい」ことばかりを重視する今の教育の傾向、メディアの傾向へのアンチテーゼなのです。
 
 客出しは楽し
 
 幼稚園のパフォーマンスでいちばん楽しいのが客出しです。ただでさえステージとステージの間の時間が短いのに、客出しに時間をかけている点については、幼稚園の先生方にたいへんご迷惑をおかけしています。その上、パフォーマンスの時間も常にオーバーしているので、プロでは絶対に許されないことでしょう。しかし、これはアマチュアだからこその私のこだわりでもあります。目線を合わせるために膝をついて、ホールを出て行く子ども達ひとり一人とバイバイをし、ハイタッチしたり握手することがこの上ない私の喜びです。どんなに暑くても、どんなに疲れていても、すべて忘れられるひと時です。
 卒園のみんな元気でね。ちっちゃいみんな来年もまた会おうね。

                                                おわり

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幼稚園であそぼ!(2) [幼稚園パフォーマンス]

パフォーマンスしましょ
 
 はじめの内はバルーン(動物や剣など)を配ることが中心でした、園児全員にバルーンが行き渡るようにと、前日保護者の方たちにバルーンモデリングを指導し、みんなでたくさんのバルーンを作りました。保護者の皆さんはとても熱心でしたので、簡単な動物ぐらいはすぐに作ることができるようになりました。ただ、風船のこすれる音が苦手な人、破裂が怖くてねじることができない人もいます。無理強いしないこと、これがクラウンの心得ですからそういう人に無理に勧めたりはしません。
 当日は、作り置きしたバルーンを配ると同時に、抽選に当たった子ども達にバルーンモデリングを見せました。子ども達は小さな椅子に腰掛け私がペンシルバルーンをねじって動物や剣などを作るのをじっと見つめて待っています。中には全く興味がないというようにそっぽを向いている子もいます。できあがった動物を見たときの子どもたちの笑顔。お母さんたちがそばにいらっしゃると「ありがとうは」と子どもに促すのですが、実はそんなものは無用です。彼らの表情が、笑顔がもう「ありがとう」をしっかり伝えてくれていますから。そっぽを向いていた子たちも大体は受け取るときには笑顔です。私の手から奪うようにしてバルーンを持ち去る子もたまにいますが、やはり内心はうれしくてたまらないのです。ただ、それを表現するのが苦手なだけなのです。
 保護者の皆さんは結構楽しんでくれたと思うのですが、抽選で当たった子どもたちが、バルーンの出来上がりを待っていると、他のイベントに参加できないということで、この形は3年ほどでやめました。
 その後は、お客さんが100名ほど入るホールで10分程度のパフォーマンスをやるようになりました。数分おきに3ステージ。完全入れかえ制。私は原則しゃべらないクラウンなのですが、進行の先生が私の動きに合わせて即興で解説してくれるので全然困りません。それにしても幼稚園の先生はすごい。これまで何人か担当の先生が変わったのですが、私のやっているパントマイムを瞬時に理解して、子ども達に絶妙なヒントを与えます。けして答えを無理強いしない点もすばらしい。私の方もはじめの内はわかりやすいマジックやジャグリングを中心とした演目を多くしていましたが、途中から進行の先生の力を頼りにしてパントマイムの演目を増やすことができるようになりました。

つづく
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幼稚園であそぼ!(1) [幼稚園パフォーマンス]

まずは、準備をしましょ

 千葉市内のある幼稚園でパフォーマンスをはじめて14年になります。毎年、夏の夕涼み会に呼んでくれるのです。「今年でもう呼んでもらえないかもしれない」と思ったときもありました。「今年も呼んでいただきありがとうございました」と挨拶すると、園長先生が「クラウンQさんがよろしければ、ずっと来てください」と言ってくださいました。とてもありがいことです。お言葉に甘えて毎年うかがっています。芸の上達は今一つですが……。
 パフォーマンスの準備は何週間も前からはじめます。ノートにこれまでの演目と流れを書き残してあるので、まずそれをチェックします。ウケた演目、ウケない演目。ウケてもやりたくない演目、ウケなくてもぜひやりたい演目。これまでに勉強したり、見たりしたパントマイムやマジックのノートもあるので、何か新しい材料がないかをチェックします。
 マジックについては業者のホームページでカタログを見て、何か使えそうなマジックがないか調べたりもします。演目が決まったら、子どもたちの反応をイメージしながら、自然な流れになるように構成を考え、ノートにまとめていきます。次に材料をそろえます。必要なものはすべてノートに書き出してあります。衣裳は毎回同じものなので、洗濯するぐらいなのですが、バルーンやマジックの道具は消耗品が多いので、早めに購入するようにしています。メイク道具もそろっているかチェックします。その次はBGМの作成です。私は主にシルクドソレイユの音楽を使っています。当日、音響係がいるわけもないので、流しっぱなしで使えるような構成にしています。犬の吠える声をネットで探して入れたりすることもありますが、タイミングが難しくうまくいったことがありません。最後にBGМを流し、ノートで演目の順番や内容を確認しながらイメージトレーニングをします。何度も繰り返し、大きな問題がないことを確認したら実際に演じてみます。うまくいかないところは修正しながら、仕上げていきます。
 前日は最終チェックです。ストレッチなど身体のチェックも含めて、すべて問題がないか確認します。当日はもちろんですが、前日もなるべく夏休みを取るようにしています。夜とは言え、暑い中でのパフォーマンスなので体調が第一です。当日は朝からストレッチをしたり、イメージトレーニングをして過ごします。午後は軽く昼食を摂り、少し昼寝をしてシャワーを浴びてから、メイクにとりかかります。仕上がるまで約1時間です。メイクをしてから、BGМに合わせて実際に動いてみます。クラウン用の眼鏡を使いはじめてからは大丈夫なのですが、それ以前は眼鏡をとると距離感が全く違ってしまい、動きが制限されることもしばしばでした。これからクラウンをやる近視、乱視、老眼の方は専用眼鏡の購入をお勧めします。眼鏡だけではなく、衣裳によっても動きが制限されることがあるのでこの最終チェックは必要です。

つづく
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クラウンの3タイプで遊ぼう! [クラウンタイプ]

皆さん、クラウン(道化師)にも3つのタイプがあるのを知ってますか?
 伝統的なクラウンには3つのタイプがあるんですよ。それはホワイトフェイス(Whiteface)、オーギュスト(Auguste)、トランプ(Tramp)の3種類です。彼らがトリオでクラウンを演じる時には、ホワイトフェイスがいわゆる突っ込みの役割を演じます。他の2人よりちょっとだけ賢い存在です。一方、オーギュスト(アウグストとも)はギャグメーカーでボケ役です。たいていは悪賢いホワイトフェイスにだまされて、パイを顔にぶつけられたり、バケツの水をかけられたりします。トランプはホーボー(Hobo)とも言います。どちらも英語で「浮浪者」という意味です。3人の中では最も間抜けな役柄がこのトランプです。でも、天然ボケというか、愛すべき人柄の役でもあります。ホワイトフェイスにまんまとだまされたオーギュストが、同じ手を使ってだましてやろうとする相手がこのトランプなのですが、ほとんど失敗に終わります。賢いホワイトフェイスと、とぼけたトランプの間にはさまれて、オーギュストは必死にジタバタするのですが、何をやっても全然うまくいきません。そしてオーギュストがもがけばもがくほど、失敗すればするほど、観客はおかしくてたまらないのです。
 古典的なクラウンアクト(道化芝居)にこんなのがあります。ホワイトフェイスが何を見つけたのか、じっと一箇所を見ています。そこに通りかかったオーギュストが「何があるの?」と同じ場所を見ていると、ホワイトフェイスは彼の後ろに回り込んで、尻を思い切り蹴り上げます。すべてホワイトフェイスのいたずらだったのです。オーギュストが怒りと痛みで、へこんでいるとそこにトランプがやってきます。「よおし、同じように奴をだましてやろう」と、オーギュストはホワイトフェイスのマネをします。トランプも彼と同じように計略に引っかかるのですが、いざ尻を蹴り上げようとした瞬間、トランプは足元に何かを見つけて突然しゃがんでしまうので、オーギュストは空振りして、でーんと尻餅をついてしまいます。その様子を盗み見ていたホワイトフェイスは大笑い。怒ったオーギュストがホワイトフェイスを追いかけます。しかし逆にパイを顔に投げつけられてしまいます。それを見ていたトランプも大笑いします。怒ったオーギュストがパイをトランプに投げつけますが、トランプは今度も何かを拾おうとしゃがんでしまい、パイは笑っていたホワイトフェイスの顔にあたり……。ここからははちゃめちゃな大騒ぎ。まさにスラップスティック(ドタバタ喜劇)です。
 さて、このクラウンの3つのタイプは、メイクや衣装でもはっきり区別されます。
 ホワイトフェィスには「正統派ホワイトフェイス」と「コメディホワイトフェイス」があります。どちらもその名の通り顔全体を白く塗ります。ただ「正統派ホワイトフェイス」は唇を赤く塗りますが、他のクラウンのように大きくは描きません。鼻の頭も少しだけ赤く塗り、クラウンノーズ(付け鼻)は付けません。目にも黒い縦線を入れる程度で、赤と黒以外の色を使わずきわめてシンプルなメイクです。「スカルキャップ」という頭に密着して完全に覆う白いかぶり物をして、髪をすべて隠すのが特徴です。すでに18世紀にはこのタイプのクラウンがいたようです。最も古典的なクラウンの姿と言っていいでしょう。一方「コメディホワイトフェイス」の方は、かなりオーギュストに近く、口を大きく描き、鼻にもクラウンノーズを付けることがあります。色も多く使い、カラフルなかつら(wig)をかぶるのが普通です。新しいタイプのホワイトフェイスです。
 オーギュストの場合、白く塗るのは口と目の周りだけで、ほとんどの部分は肌色かピンクで塗ります。顔のメイクはホワイトフェイスより派手です。たいていのオーギュストは口を大きく赤で描きます。中には黒で描くクラウンもいるようです。衣装はえんび服だったり、上着だったりときわめて普通ですが、サイズが合っていなかったり、派手なパッチ(アテ布)がついていたり、ちょっとやつしている(崩している)ことが多いようです。クラウンノーズをつけ、派手なかつらをかぶっています。私、つまりクラウンQのメイクはこのオーギュストです。
 トランプは黒、茶またはダークグレイの無精髭をはやしています。口は白く塗ります。頬は赤く塗り、鼻にも赤いクラウンノーズを付けます。そして、目の周りは白く塗ります。顔の残りの部分は、浮浪者らしく日焼けした感じを出すため濃いドーランを塗ります。
 トランプはもともとアメリカの大恐慌時代に列車に無賃乗車して旅をした浮浪者ホーボーに由来するのだそうです(ホーボーをイメージできない方はぜひ映画『北国の帝王』を御覧になってください。名作です)旅の間ずっと列車の発する煙をかぶっていたので、無精髭もススで汚れています。髭を特に黒くするのはそのためです。また、彼は何かを食べた後で、必ず手の甲や袖口で口を拭うので、トランプの口はススがとれて白くなっています。だから口を白く塗るのだそうです。同様に目の周りが白いのも、眠気のために目をこすって、そこだけススがとれたからだそうです。なるほど、ですね。
 
 クラウンのタイプやメイクについては次の本を参考にしました。
 「Strutter's Complete Guide To CLOWN MAKEUP」(by Jim Roberts)
 クラウンについて興味のある方はぜひ読んでください。メイク道具、メイク方法はもちろん、目や口の様々な描き方の紹介、衣装や小道具についての解説もあります。英文ですが、写真もたくさん使われていて、とても楽しい本です。↓    


Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

  • 作者: Jim Roberts
  • 出版社/メーカー: Java Pub Co
  • 発売日: 1991/03/01
  • メディア: ペーパーバック



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クラウンメイクで遊ぼう!(3) [クラウンメイク]

目のメイク

⑱「アイライナー」または「アイペンシル」で上下のアイラインを引きます。少し太めにくっきりと引くのですが、初めての人は少しずつ太くしていきましょう。馴れないと左目が難しいです。目尻は長めに引いて、必ず下げます。下げると優しい感じになります。
アイラインが乾いたら、睫毛についたクラウンホワイトをティッシュで取ります。睫毛を引っ張るようにするので、メイクの度に睫毛が少なくなるような気がします。付け睫毛を付ける人もいます。カラフルなのが販売されているので、楽しいと思います。私は目が悪いので専用の赤い眼鏡をかけています。厚いメイクのため、クラウンにはコンタクトレンズは向かないようです。

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鼻をつける

⑲付け鼻はクラウンメイクの中心です。私はビニール製の「クラウンノーズ」を使っています。安いスポンジの鼻もあります。サーカスクラウンノーズという紐のついた鼻もあります。ノーズパテという粘土を使って作る方法もあります。
⑳ビニール製の「クラウンノーズ」には様々な形があるので、その時の気分で鼻を選ぶだけで楽しくなります。専用の「スピリットガム」(左端)で付けるのですが、鼻にも「クラウンノーズ」の裏側にもしっかり塗っておかないと、特に夏場のショーでは汗で取れてしまうことがあります。「スピリットガム」を塗ってすぐに付けるのではなく、少し乾かしてから付けるのがコツです。自転車のパンク修理に使う接着剤と同じです。他に専用のテープ(右下)もあります。これはかなり強力なので、最近はテープと「スピリットガム」を併用しています。

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メイク落とし

○まず「クラウンノーズ」を取ります。専用の「リムーバー」を塗ると、「スピリットガム」もきれいにとれます。
○「クレンジング」を顔に塗ってドーランとなじませてから、「ティッシュ」で拭います。○水で流してから、洗顔石鹸で洗い落とします。
○「スピリットガム」はなかなか落ちないので、爪で掻くようにして落とします。
○目のメイクも完全にとるには少し手間がかかります。
○自宅なら問題ありませんが、私の場合もトイレや控え室の手洗い場などでメイクを落とすことが多いです。そういう場合、その場所を汚さず、きれいにして立ち去るのがとても大切なことだと思っています。
○クリームまたはローションを塗り、肌のケアをします。

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おわり

↓ 私が参考にしたクラウンメイクの本です。全文英語ですけど難しくはありませんよ。


Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

  • 作者: Jim Roberts
  • 出版社/メーカー: Java Pub Co
  • 発売日: 1991/03/01
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クラウンメイクで遊ぼう!(2) [クラウンメイク]

準備

①髪をバンドなどで留めます。
②顔をよく洗います。
③かぶる衣裳(Qの場合はボーダーのシャツです)だけは、身につけてその上からタオルをかけます。
④新聞紙を、テーブルの上だけでなく座る場所や床の上にも敷きます。自宅ならともかく、現地でメイクをする場合には、使わせていただいた部屋を汚さないのが鉄則です。

白塗り

⑤私は下地を使っていませんが、肌の痛みやメイクののりを気にする方は使った方がいいと思います。
⑥「クラウンホワイト」を左手(利き手の反対)の甲の側の親指と人差し指の間の場所に、「ヘラ」などで取ります(パレットの代わりです)。ヘラでこねてなじませます。
⑦私は「クラウンホワイト」を、右手(利き手)の人差し指につけて顔に塗っています。「毛筆」で輪郭だけ描いておき、後で中を塗るという方法もあります。やりやすい方法を選ぶといいでしょう。どこを白く塗るかは、クラウンの種類や個性によって違うと思います。私の場合は目の周りと口の周りしか塗りません。鏡を見ながら額の右側から、眉、目の周り、目の下と塗っていきます。ドーランは、水をつけたスポンジで伸ばすのが一般的ですが、屋外で長時間もたせるために、多少厚く塗っておきます。厚く塗ることで眉をつぶすこともできます。目の周辺が難しいのですが、とりあえずざっくり塗っておきます。左側も塗ります。額のどのあたりから塗るのかは、表情を作ってみるとここだという場所が見えてきます。クラウンは表情が命なので、特に喜怒哀楽の大きな表情を作りながら塗っていくことがコツです。
⑧「毛筆」を使って目のあたりの細かいところに、クラウンホワイトを塗ります。目の縁には「アイライン」を入れるので、そこは塗らないように気をつけます。睫毛についてもとりあえずこの時には気にしません。後で取り除きます。指で塗った場合は、輪郭がはっきりしないことがあります。はみ出してしまったクラウンホワイトを塗らした「綿棒」を使って取り除きながら輪郭を作るといいでしょう。
⑨口の周りに塗ります。私の場合は笑って口角を上げたときに、円形にふくらむ頬のあたりからアゴまで塗っています。こうすることで笑顔が強調されます。
⑩白を塗り終えたら「パウダー」を白い部分につけていきます。パフに「パウダー」をつけて、白い部分を抑えます。パフ本体にクラウンホワイトがつかないように、一回ごと「パウダー」つけて抑えていきます。最後に指と掌で塗った場所を抑えてクラウンホワイトとパウダーをなじませます。、そして指や掌にクラウンホワイトがつかないことを確認します。指や掌にベタっとつくようであれば、さらに「パウダー」で抑えます。
⑪「ハケ」を使って余計なパウダーを落とします。最初は大きなハケで全体的に、次に小さめのハケで細かいところを丹念に落とします。このとき、衣裳や新聞紙の敷いていないところにパウダーが飛び散らないように気をつけます。

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色を塗る

⑫次は色を入れます。私の場合は目の周りに青、唇と口の端に赤を入れるだけです。まず、毛筆を使って、額の右側の白く塗ったところを縁取りするようにこめかみまで塗ります。
白く塗ったところに上塗りしてしまうと、色が薄くなってしまうので外側に塗ります。同じ太さよりも太い細いの変化をつけた方が美しいと思います。馴れないと左側が難しいです。この青いラインはクラウンの眉毛です。
⑬赤を口の端に塗ります。口角を上げたときに唇の端に円形の部分ができます。そこを中心に赤く塗っておくと、笑顔が引き立ちます。唇は下唇を厚く塗る方が優しい表情になります。口を開いた状態で少し中まで塗り、すぐにパウダーで抑えましょう。口を閉じると上下の赤がついてしまうからです。唇を指で抑えて、赤がつくようならもう一度パウダーをつけます。
⑭鼻にはあとで「クラウンノーズ」をつけますが、私は鼻の頭も赤く塗っておきます。万一、鼻が取れたときのためです。実際、子どもに鼻をもがれたこともありますし、汗で取れてしまったこともあります。子どもの夢を壊さないようにするためです。これは先輩のクラウンに教えてもらいました。
⑮赤い鼻をつけたクラウンは酔っ払いなので、私の場合目の下からこめかみにかけてと目と目の間に少し濃い目の「肌色のドーラン」を塗っています。ちょっと顔が赤い感じになります。また、これはちょっと年齢を、つまりシミを隠す意味もあります。
⑯目の上と下に縦線を入れます。黒を「毛筆」で塗るか、「アイライナー」「アイペンシル」を使います。笑ったときに本来の目とこの線とが十字になるようにします。片目ずつつぶって反対の目を描きます。難所の一つです。
⑰色をすべて塗り終わったら、塗った部分だけパフでパウダーをつけていきます。パフ本体に色が付かないように確認しながら、しっかりパウダーで抑えます。他の部分に色がついてしまうとなかなか修正できないので、慎重にやります。最後に塗った部分を指で抑えてパウダーをなじませます。色が指につかないか、パウダーがしっかりついているか確認します。それから、小さなハケを細かく動かして余計なパウダーを落とします。線のところは線に沿って落とします。慎重にやりましょう。

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続く……

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クラウンメイクで遊ぼう!(1) [クラウンメイク]

クラウンにメイクは欠かせません。

まず、メイクに必要な道具です。

ヘアーバンド・タオル・新聞紙・下地クリーム(またはローション)

「クラウンホワイト」…白塗り専用のドーラン。あまり厚くならない「ライト」など様々な種類があります。外国製がほとんどかな。

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「ヘラ」…あると便利。アイスキャンディーの棒でもいいくらい。私はペーパーナイフで代用しています。
「毛筆」…3本ぐらいはあった方がいいです。一度に6本使うことはありません(笑)

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「スポンジ」…メイク用のスポンジ。普通の化粧用。なくても可。
「綿棒」…メイクの輪郭などの修正に必要です。

「パウダー」と「パフ」…「パウダー」はできれば舞台用の無色の粉白粉がいい。私の劇団でも「ベビーパウダー」を代用しており、それでテカリは抑えられるのですが、「クラウンホワイト」の場合は、自分や子どもが触っても付かないこと、長い時間メイクを保てることが大切なので、専用のものを使っています。後ろの容器はクラウン専用のパウダーです。前のものは舞台化粧用の透明パウダーです。

「ハケ」…メイク用のハケです。大きいものと小さいものがあると便利です。

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「色」…赤・青・黒・肌色のドーランです。パレット(数色セット)があります。私も赤・青・黒・白・肌色のパレットを使っています。

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「アイライナー」「アイペンシル」…黒または茶。私はずっとアイペンシルを使っていましたが、最近はリキッドタイプ(黒)を使っています。

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「クラウンノーズ」「スピリットガム」(接着剤)…私はビニール製のクラウンノーズを使っています。様々な形があるので付けるのも楽しいのですが、「スピリットガム」(左端)の匂いでクラクラするときがあります。裏側がスポンジになっていて、そこにガムを塗るのですが、何度も使用すると接着剤がこびりついてゴワゴワになります。消耗品と考えた方がいいでしょう。私は10個近く持っていて、それぞれ形も微妙に違うので、気分で鼻を変えています。右下にあるのが、専用のテープです。かなり強力なので私は接着剤と併用しています。他に専用の「リムーバー」(剥離剤)や「クリーナー」(洗浄剤)も売っています。

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「ティッシュペーパー」・「洗顔石鹸」・クリームまたはローション

これらを収納するケース…私は無印良品の化粧道具入れを使っています。軽いので持ち運びにも便利です。大きいものと小さなものを使い分けています。

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続く……

↓ 私が参考にしたクラウンメイクの本です。全文英語ですけど難しくはありませんよ。


Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

  • 作者: Jim Roberts
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