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クラウンの3タイプで遊ぼう! [クラウンタイプ]

皆さん、クラウン(道化師)にも3つのタイプがあるのを知ってますか?
 伝統的なクラウンには3つのタイプがあるんですよ。それはホワイトフェイス(Whiteface)、オーギュスト(Auguste)、トランプ(Tramp)の3種類です。彼らがトリオでクラウンを演じる時には、ホワイトフェイスがいわゆる突っ込みの役割を演じます。他の2人よりちょっとだけ賢い存在です。一方、オーギュスト(アウグストとも)はギャグメーカーでボケ役です。たいていは悪賢いホワイトフェイスにだまされて、パイを顔にぶつけられたり、バケツの水をかけられたりします。トランプはホーボー(Hobo)とも言います。どちらも英語で「浮浪者」という意味です。3人の中では最も間抜けな役柄がこのトランプです。でも、天然ボケというか、愛すべき人柄の役でもあります。ホワイトフェイスにまんまとだまされたオーギュストが、同じ手を使ってだましてやろうとする相手がこのトランプなのですが、ほとんど失敗に終わります。賢いホワイトフェイスと、とぼけたトランプの間にはさまれて、オーギュストは必死にジタバタするのですが、何をやっても全然うまくいきません。そしてオーギュストがもがけばもがくほど、失敗すればするほど、観客はおかしくてたまらないのです。
 古典的なクラウンアクト(道化芝居)にこんなのがあります。ホワイトフェイスが何を見つけたのか、じっと一箇所を見ています。そこに通りかかったオーギュストが「何があるの?」と同じ場所を見ていると、ホワイトフェイスは彼の後ろに回り込んで、尻を思い切り蹴り上げます。すべてホワイトフェイスのいたずらだったのです。オーギュストが怒りと痛みで、へこんでいるとそこにトランプがやってきます。「よおし、同じように奴をだましてやろう」と、オーギュストはホワイトフェイスのマネをします。トランプも彼と同じように計略に引っかかるのですが、いざ尻を蹴り上げようとした瞬間、トランプは足元に何かを見つけて突然しゃがんでしまうので、オーギュストは空振りして、でーんと尻餅をついてしまいます。その様子を盗み見ていたホワイトフェイスは大笑い。怒ったオーギュストがホワイトフェイスを追いかけます。しかし逆にパイを顔に投げつけられてしまいます。それを見ていたトランプも大笑いします。怒ったオーギュストがパイをトランプに投げつけますが、トランプは今度も何かを拾おうとしゃがんでしまい、パイは笑っていたホワイトフェイスの顔にあたり……。ここからははちゃめちゃな大騒ぎ。まさにスラップスティック(ドタバタ喜劇)です。
 さて、このクラウンの3つのタイプは、メイクや衣装でもはっきり区別されます。
 ホワイトフェィスには「正統派ホワイトフェイス」と「コメディホワイトフェイス」があります。どちらもその名の通り顔全体を白く塗ります。ただ「正統派ホワイトフェイス」は唇を赤く塗りますが、他のクラウンのように大きくは描きません。鼻の頭も少しだけ赤く塗り、クラウンノーズ(付け鼻)は付けません。目にも黒い縦線を入れる程度で、赤と黒以外の色を使わずきわめてシンプルなメイクです。「スカルキャップ」という頭に密着して完全に覆う白いかぶり物をして、髪をすべて隠すのが特徴です。すでに18世紀にはこのタイプのクラウンがいたようです。最も古典的なクラウンの姿と言っていいでしょう。一方「コメディホワイトフェイス」の方は、かなりオーギュストに近く、口を大きく描き、鼻にもクラウンノーズを付けることがあります。色も多く使い、カラフルなかつら(wig)をかぶるのが普通です。新しいタイプのホワイトフェイスです。
 オーギュストの場合、白く塗るのは口と目の周りだけで、ほとんどの部分は肌色かピンクで塗ります。顔のメイクはホワイトフェイスより派手です。たいていのオーギュストは口を大きく赤で描きます。中には黒で描くクラウンもいるようです。衣装はえんび服だったり、上着だったりときわめて普通ですが、サイズが合っていなかったり、派手なパッチ(アテ布)がついていたり、ちょっとやつしている(崩している)ことが多いようです。クラウンノーズをつけ、派手なかつらをかぶっています。私、つまりクラウンQのメイクはこのオーギュストです。
 トランプは黒、茶またはダークグレイの無精髭をはやしています。口は白く塗ります。頬は赤く塗り、鼻にも赤いクラウンノーズを付けます。そして、目の周りは白く塗ります。顔の残りの部分は、浮浪者らしく日焼けした感じを出すため濃いドーランを塗ります。
 トランプはもともとアメリカの大恐慌時代に列車に無賃乗車して旅をした浮浪者ホーボーに由来するのだそうです(ホーボーをイメージできない方はぜひ映画『北国の帝王』を御覧になってください。名作です)旅の間ずっと列車の発する煙をかぶっていたので、無精髭もススで汚れています。髭を特に黒くするのはそのためです。また、彼は何かを食べた後で、必ず手の甲や袖口で口を拭うので、トランプの口はススがとれて白くなっています。だから口を白く塗るのだそうです。同様に目の周りが白いのも、眠気のために目をこすって、そこだけススがとれたからだそうです。なるほど、ですね。
 
 クラウンのタイプやメイクについては次の本を参考にしました。
 「Strutter's Complete Guide To CLOWN MAKEUP」(by Jim Roberts)
 クラウンについて興味のある方はぜひ読んでください。メイク道具、メイク方法はもちろん、目や口の様々な描き方の紹介、衣装や小道具についての解説もあります。英文ですが、写真もたくさん使われていて、とても楽しい本です。↓    


Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

Strutter's Complete Guide to Clown Makeup

  • 作者: Jim Roberts
  • 出版社/メーカー: Java Pub Co
  • 発売日: 1991/03/01
  • メディア: ペーパーバック



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